「イヌを叱るべきか?叱らないべきか?」
どっちだと思います?
ある人は言うわけです。
「悪いことをしたのなら、ちゃんと叱らなければならない」
またある人は言います。
「別に叱る必要はない」
どっちなんでしょうね。
ここで大事なことは「手段」と「目的」をちゃんと区別して考えることです。
「叱る」というのは、あくまでも「手段」のひとつです。
つまり「これこれこういうことのために、叱る」わけです。
じゃあ、なんのために叱るんでしょう?
わかりやすく結論を言えば「賢い行動をさせるため」です。
イタズラをしていたり、飛びついたり、吠えたり、噛んだり、トイレを失敗したりと、色々と「ヒトにとって都合の悪いこと」を、イヌはたくさんやったりします。
そしてそれらをまとめて「問題行動」と呼んだりするわけですが、それらを「やめさせるため」に、「叱っている」方が多いと思います。
この「やめさせる」ことが、なぜ「賢い行動をさせる」ことに繋がるんでしょうか?
多くの方(これは飼い主さんだけでなく、プロの方も同様ですね)は、↑に書いたように「問題行動、つまり悪いことをやめさせるため」に叱ってらっしゃると思います。
しかし「問題行動をやめさせるため」だけでは足りません。
当たり前ですが「問題行動をしている瞬間に叱る」ということをした場合、イヌが固まって動かなくなるわけではありません。
別の行動が出ます。
たとえば「飛びついてきたので、ダメと叱ったら、オスワリをした」みたいなことですね。
あるいは「イタズラをしているので、コラと叱ったら、上目づかいでこちらに擦り寄ってきた」みたいなことです。
しつけの本にも書いてありますよね。
「叱ったあとに賢い行動をしたら、褒めてあげましょう」
そうなんですよ。
「叱ったあと」が大事なんです。
「叱ったあと」に、イヌが「賢い行動をするかどうか」が大事なんです。
「叱ったあと」に、「イヌが賢い行動をして、それを褒める」のが大事なんです。
てことはですよ?
「悪いことをやめさせる」というのも、結局は「賢い行動をさせて、それを褒めるため」の、「手段のひとつ」でしかありません。
つまり「叱る」っていうのは、「賢い行動をさせるための、手段のうちのほんの小さなひとつ」でしかないわけです。
そう考えると「叱る」ってこと以外にも、「賢い行動をさせる方法」って、いくらでもあると思いませんか?
実際、たくさんあるんですよ。
そして、もうここ何年も言い続けてることですし、本当にそう思うんですけどね。
「自分のイヌを叱りたくて叱ってる飼い主さんなんて、一人もいない」と思うんです。
あなたはどうですか?
「叱らないとダメ」って、本に書いてあったから叱ってるだけじゃないですか?
「叱らないとダメ」って、誰かに言われたから叱ってるだけじゃないですか?
「叱らずに済む方法」を単に知らないから、叱ってるだけじゃないですか?
本当に「叱らないとダメ」ですか?
そして、それはうまくいってますか?
もしうまくいってないんなら、別のやり方を探した方が、建設的なんじゃないかなと思います。
わんこを褒めて、わんこは褒められて。
お互いに「褒めて、褒められる関係」でいられる家族って、素敵だなぁと思うわけなんですよ。
でもって、その方がきっと楽で楽しいです。
やっぱり「楽は正義」ですね。