「散歩のトレーニング」じゃなくて「アレンジ」 おべんと持ってちょっとそこまで 2

トレーニングモード(または訓練モード)」っていう言葉、聞いたことはありますか?
大体「トレーニングモードに入ると、ちゃんと言うこと聞いてくれんるですけど」みたいな感じで使われます。
似たようなものに「訓練のスイッチが入れば、ちゃんとやってくれる」みたいなものもありますか。

要は「いつも言うこと聞いてくれるわけじゃないんだけど、そのモードに入りさえすればなんとかなる」って意味で、これまた大抵の場合「そのモードに入ってくれなくて困る」とか「ほんとは、そういう風に区別せずに動いて欲しいんですけど」みたいな、隠れた要望があったりします。

あ、飼い主さんの要望ね。

前回のエントリで「散歩のトレーニングじゃなくて、散歩をアレンジする」てなことを書きました。

これは、こういうイヌが「区別しちゃう」のを、予防するというのも目的のひとつです。

ではまずは、なんでこういう「区別」が起きちゃうのか?って話を。

こう、いわゆる「トレーニング」ってやつをですね、「場所」を決めてやるとちょっとうまくいかなかったりするんですね。
公園だったり、ちょっとした広場だったり、河川敷だったり?
そういう風に「トレーニングする場所」みたいなのを決めて、そこだけでやっちゃう。
で、それをやると「イヌが区別しちゃう」なんてことが起こるんですね。

専門的には「弁別学習」とかって言うんですけれども。

じゃあ、「何と何を区別してるのか?」というと、「トレーニングの場所」と「そうじゃない場所」を区別します。
なんでそんな「区別が起こるのか?」というと、「トレーニングの場所だけで、トレーニングしてるから」なんです。

人によっては「そんなことありません。散歩中、常にトレーニングをしています」という人もいらっしゃるかもしれません。

でも、結構な割合で「トレーニングする場所」と、「そうじゃない場所」とで、「飼い主さんの動き」が違うことは本当に多いと思うんですね。
その「飼い主さんの動き」っていうのは、具体的にいうと「褒める」です。
「また褒めるの話かよ」と思うかもしれませんが、また褒めるの話です。
それぐらい大事なことなんですよ。

「褒める」もうちょっといえば「褒める頻度」「褒め率」です。

トレーニングの場所や場面では、飼い主さんも集中してたりしますから、「褒め率」は結構高めです。
なんなら、「褒め率:.825(8割2分5厘と読みましょう)」なんて高打率を叩き出す人もいるかもしれません。
イチローも真っ青ですね。
でも、たとえば公園を一歩出て、さああとは帰るだけだとなったら、途端に「褒め率」がガクンと落ちたりします。
それこそ「褒め率:.052」みたいな低打率。
ピッチャーか?っていうぐらいの打率です。

で、こういう「褒め率の違い」があると、イヌは「飼い主さんの褒めがあるときー」と、「飼い主さんの褒めがないときー」とで、きっちり区別します
551の蓬莱のCM並に区別します(関西ローカルですみません)。
なんならそれ以上に区別します。

緊張感がどうとか、飼い主さんの気合いがどうとか、「絶対に言うことを聞かせるんだという気迫のもと、出したコマンド」とかよりも、単に「褒めてる率の違い」が、行動にものすごく影響を与えます
というか、「弁別学習(こういう区別をする学習)」っていうのは、「行動の後にある、いわゆる報酬の違い」によって、どんどん進んでいくんですね。

「行動の前にあるきっかけの部分」-コマンドの出し方とか、手の位置とか、イヌの目を見るとか-を気にされる方は多いんですけど、大事なのは「行動の後にある結果の部分」なんです。

繰り返し何度も「イヌのコントロールが上手な人は、褒めるのが上手」と書いているのは、ここも根拠のひとつになってます。

「強化なくして弁別なし」ですから。

でも、前回のエントリに書いた「わんこのおべんと持って、ちょっとそこまで」なら、結構防げるんじゃないかなー?と思うんです。

続きます

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hit1678 について

1978年9月17日生まれ。♂ Dog Life Design ocean style代表。 行動学(行動分析学)に基づいた、イヌの問題行動の改善が専門。 高校卒業後、警察犬訓練士に師事。その後、家庭犬の訓練に従事する。 現在は、問題行動の改善をメインとしつつ、しつけ、トレーニングではなく、「ヒトとイヌの暮らし」を支える「Dog Life Design」というコンセプトで、京阪神をメインに訪問セッションやセミナー講師を務める。 現在、立命館大学大学院応用人間科学研究科応用人間科学専攻(対人援助学領域)に通う社会人大学院生。
カテゴリー: ベースアレンジ, 接し方のベースアレンジ タグ: , , , , , , , , , パーマリンク