「しつけ」と「ハッピー」を繋ぐ 3

「やりたいことができる」=「ハッピーが増える」

これは、たとえばこういうことでもあります。

run 
この写真は、宝塚にある某ドッグラン横で撮ったものです。
飼い主さんはベンチに腰かけて、その横でわんこは大人しく座って飼い主さんを見ていますね。

これなんです。
これ。
この姿。

元々、このわんこは「イヌを見るとパニックのようになって、激しく吠え続ける」という子でした。
というか、お伺いした当初は「散歩に出るとやたらと興奮して、吠えながら歩く」という子でした。
当初のご依頼内容は、この「散歩中の吠えがあまりにうるさいから、なんとかして欲しい」でした。

玄関を出る前の段階から吠え始め、道路に出たところで最初のピークを迎えて「ギャン!ギャン!ギャン!ギャン!」と吠えます。
その後は、おしっこやウンチを一通り終えるまでは「キャンキャンキャンキャン」と甲高い声で吠え続けながら、歩きます。
静かにしているのは、道路や植え込みの匂いを嗅いでいるとき。
横について歩くなんていうことも、まったくと言っていいほどできていませんでした。
おしっこやウンチをして、ある程度落ち着いてきたら、ようやくちょっと静かになります。
でも、遠くの方にイヌを見つけたら、もうパニック状態です。
ちらっと姿が見えただけで、激しい吠えが止まらなくなります。

相手の姿が見えなくなっても止まりません。

飼い主さんの声も、まったく届きません。

フードを見せても食べません。

興奮が強すぎたんでしょうね。
完全に、コントロールがきかない状態でした。

しかし、セッションを続けるうちに、少しずつ静かに歩ける時間が増えていきました。
少しずつ、イヌを見たときの興奮が、弱くなっていきました。

「まったく吠えなくなった」というわけではありません。
しかし「吠えたとしても、すぐにおさまる」し、「飼い主さんの声かけで、止まる」ようになりました。

僕は「吠え」のご相談を受けたときに、必ず言うことがあるんですけど。

 「明石家さんまに、今後一生喋るな!って、できると思いますか?」

多分、無理ですよね。
あれだけ喋り倒す人、なんなら「喋ることに喜びを見出している人」に、「これから一生喋るな」は、多分無理です。
もしもそれを達成しようと思ったら、ものすごくひどい罰を与えるしか無いのではないでしょうか。

イヌも同じだと思うんですよね。
「吠える」というのは、イヌにとって「コミュニケーション」の一つの手段であることは、間違いないと思います。
イヌの吠えには、必ず意味があります
「無駄吠え」と言って、無駄だと思い込んでいるのは、人間側だけ。
イヌにとっては無駄でもなんでもないんです。
その「コミュニケーションの手段」を、「うるさいから」というヒトの都合で、無理矢理奪うというのは、ちょっとねぇって思いませんか?

しかし、だからと言って、ずーっと吠えられても困っちゃいます。
最悪、一緒に暮らせなくなってしまいます。
そこで、こう考えるんです。

 「今後一生喋るな」

これは無理だろう。
でも。

 「ちょっと今は黙っといて」

これならできるんじゃないか?
「吠え」のご相談を受けたら、このような考え方を基本にして、セッションを行います。
無理矢理黙らせるのではなくて、「お願いやから、今はちょっと静かにしてくれる?ありがとう」の方が、イヌもヒトも楽だと思うんですよね。
写真の子も、基本線は同じです。

cafe 
この2枚目の写真は、カフェでの写真です。
人生(犬生?)初のカフェです。
ここには写っていませんが、すぐ隣のテーブルに大型犬が2頭いました。
でも、飼い主さんの顔を見ながら、大人しく「できて」います。

最初は「うるさいからなんとかして」だったのが、徐々に「できること」が増えていくことで、段々と「やりたいことができる」ようになっていく

「わんこも、そして飼い主さんも、ハッピー」

そんなしつけの、一つの形だと思います。

続きます

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hit1678 について

1978年9月17日生まれ。♂ Dog Life Design ocean style代表。 行動学(行動分析学)に基づいた、イヌの問題行動の改善が専門。 高校卒業後、警察犬訓練士に師事。その後、家庭犬の訓練に従事する。 現在は、問題行動の改善をメインとしつつ、しつけ、トレーニングではなく、「ヒトとイヌの暮らし」を支える「Dog Life Design」というコンセプトで、京阪神をメインに訪問セッションやセミナー講師を務める。 現在、立命館大学大学院応用人間科学研究科応用人間科学専攻(対人援助学領域)に通う社会人大学院生。
カテゴリー: イヌの「できる」を増やす, ベースアレンジ, 考え方のベースアレンジ タグ: , , , , パーマリンク