「しつけ」と「ハッピー」を繋ぐ 2

「わんこと、飼い主さん、お互いのハッピーを増やす」

しつけっていうのは、そういうことなんだろうと思うんですね。

たとえば「家の中でのしつけ」を例に考えてみましょう。

ソファー、テーブルやイスの脚、カーテン、クッション、靴下、タオル、ティッシュなどなど、とにかく色んなものを咥えて遊んでしまう子。
あるいは、「飼い主さんの手や足を噛む」「服の裾を噛む」なんてものもありますね。
「無駄吠えする」っていうのも、なかなか困りものです。

これまでのエントリでもたくさん書いてきたように、多くの飼い主さんはそういった「困った行動をどう減らすか?」「どうやって、悪いことをやめさせるか?」ということを考えてしまいがちです。
しかし、そういう方向での「しつけ」は、あまりうまくいかなかったりします。

大事なことは、あくまでも「正しい行動」「賢い行動」を教えて、褒めて、定着させること。
イヌができることを認めて、伸ばしていく」ということ。
その結果、色んなことが「できる」ようになっていく。
「イヌのしつけ」というのは、つまりそういうことなんだと。
そしてそれが「わんこと、飼い主さん、お互いのハッピーにつながる」となれば、言うことなしですよね。

以前のエントリで「寝た子は起こせ作戦」というのを、何度か書きました。
これは「寝ているイヌを起こす」「寝ているイヌを褒める」ということを繰り返しやっていると、いつの間にか「よく寝るイヌ」になるというものです。
本当にそんなことが起きるの?と思われるかもしれませんが、本当にそんなことが起きます。
たとえば、こんな風に。

sleep

気持ちよさそうに寝ていますね。
セッション(レッスン)中に寝てくれたので、思わずパシャリと撮りました。

この子はまさに「寝た子は起こせ作戦」で、こんな風に寝る子に育ってくれています。
「最初から大人しい子だったんじゃないの?」と思われるかもしれません。
でも、この子は元々、家の中は走り回るわ、先住犬にしょっちゅうちょっかいをかけるわ、置いてある物は壊れるまで破壊するわ…という子でした。
飼い主さんも「将来この子は大変なイヌになりますよ」なんてことを色んな人に言われて、心配になってご相談に見えられました。

イタズラや、家具をかじる、破壊するということは、つまりは「大人しくできない」ということでもあります。
ならば、「大人しくしている時間」を増やしていけば、自然と「困っていること」「問題になっていること」は解決していきます。

そして、一番大人しい状態って「寝る」ですよね?
だから「寝た子は起こせ作戦」なわけです。

しつけというと、ついつい「オスワリ」とか「フセ」とか「マテ」を教えることだと思ってしまいがちです。
でも、僕はそういう風には考えていないんですね。
この写真の子も「フセ」というコマンドは教えていないので、知りません。
でも、誰かが側に来ると、自動的に「フセ」の姿勢を取ります。
そうすることが「一番構ってもらえる」ということを、知っているからです。
また、そのまま誰も構ってくれないとなると、そのうち寝ます。
そうすることが「フセをするよりも構ってもらえる」ということを、知っているからです。

強制は一切しません。
というか「寝ろ」と言って、寝かせることはなかなか難しそうです(というか、できない?)。
だからこの子は、自分から進んで寝ています。
多分、限りなくストレスはないと思います。
だって、寝るって一番リラックスした状態ですもんね。

「フセ」と言われて伏せているのでもなく、「マテ」と言われて待っているのでもなく、自分から「寝る」という行動を選んで、それをしています。

当然、どこかに閉じ込めるというわけでもありません。
部屋の中では自由です。
その自由な空間で、この子は自分のお気に入りの場所で、リラックスして寝ます。
一番リラックスした「寝る」という状態になると、周りの人がチヤホヤしてくれます。
この子にとっての「嬉しい」「楽しい」「ハッピー」な出来事が、寝ることでたくさんやってきます
ますます、寝ることのメリットが増えます。
そして、どんどんリラックスして、どんどん寝るようになっていきます。
なんなら「大人しすぎる。体調が悪いに違いない」と、飼い主さんが病気を疑ってしまう程度には、大人しくなります。
でも、喜ぶときは全力で喜ぶんですよ。
その代わり、ほんの数秒、長くても30秒ぐらいで勝手に落ち着きます。
それも、自分から。

少なくとも「また悪いことをして!」と怒られるよりは、きっと「ハッピー」だと思います。

また、飼い主さんも「ハッピー」です。

イヌがイタズラや、走り回ったり、吠えたりしていると、なかなか目を離せません。
すると、飼い主さんの「やりたいこと」が、どうしてもできません。
洗濯や、ご飯の用意や、お掃除や、あるいはテレビを観るとか、本を読むとか、ちょっとお昼寝するとか。
そういったことが、できません。
でも、イヌがリラックスして、寝てくれていたら、飼い主さんの「やりたいこと」が、できるようになります。

「やりたいことが、できる」

これって、結構ハッピーですよね。

しつけは訓練ではありません。
問題をなおすことでも、悪いことは悪いと教えることでも、我慢を覚えさせることでもありません。

こんな風に「お互いのハッピー」が、増えていく。

「お互いのハッピー」を、増やしていく。

イヌと飼い主さんの「できる」ことが増えていくことで、お互いの「やりたいこと」ができるようになって、ハッピーが増えていく。

そのプロセスが「しつけ」なのだと思います。

続きます

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hit1678 について

1978年9月17日生まれ。♂ Dog Life Design ocean style代表。 行動学(行動分析学)に基づいた、イヌの問題行動の改善が専門。 高校卒業後、警察犬訓練士に師事。その後、家庭犬の訓練に従事する。 現在は、問題行動の改善をメインとしつつ、しつけ、トレーニングではなく、「ヒトとイヌの暮らし」を支える「Dog Life Design」というコンセプトで、京阪神をメインに訪問セッションやセミナー講師を務める。 現在、立命館大学大学院応用人間科学研究科応用人間科学専攻(対人援助学領域)に通う社会人大学院生。
カテゴリー: イヌの「できる」を増やす, ベースアレンジ, 考え方のベースアレンジ タグ: , , , , パーマリンク