イヌの「できる」増やすために 2 「できる」の条件を緩める

イヌのしつけや、問題行動の改善の本質は、「イヌのできる」を増やす、伸ばすこと
そんなテーマで、ここ数日はエントリを更新しています。
前回のエントリでは「イヌのできるを増やす、伸ばすために その1」として、「いま、できていることに、注目する」という考え方をご紹介しました。

今日はその2です。

「イヌのできるを増やす、伸ばすために その2
「できる」の条件を緩める

これは言い換えれば「褒める条件を緩める」ということでもあります。

「できるを増やす、伸ばす」わけですから、ほとんどの場合「褒める」ことが必要になります。
しかし、これまた多くの場合(特に「しつけで困っている、悩んでいる」場合)は、その「褒めることができません」という飼い主さんがいらっしゃったりします。
曰く「褒めたいとは思ってます。でも、褒められるようなことをやってくれません」と。
そこで前回のエントリでは「いやいや、それでも24時間365日問題は起こしていないでしょう?どこかで大人しいときがあるはずですよ?」ということをお伝えしました。

しかし、こんなことをおっしゃる方だっていらっしゃいます。

 「大人しいとき?そりゃありますよ。
  でもね、私たちが『大人しくして欲しいとき』に、
  大人しくないから困ってるんですよ。
  そうじゃないところで大人しくされてもねぇ」

たとえばそれは、こういうことですね。

 ・他犬と会わなければ静かに散歩できるけれど、
 
 他犬と会ったときに吠える
  →他犬と会ったときに静かにできない
 ・来客がなければ大人しいけど、
  来客があるととにかくうるさい
  →来客時に静かにできない
 ・普段は触らせてくれるけど、
  ブラッシングのときは噛まれる
  →ブラッシング時に大人しくできない

つまり。

 大人しいときがあるのはわかる。
 確かに24時間365日問題を起こしてるわけじゃない。
 でも、「いま、大人しくして欲しい」ってときに、大人しくない。
 だから困ってるんです。
 褒めることが大切だってこともわかってます。
 でも、大人しくないんだから、褒めようがないでしょう?
 やっぱり、ときには叱る必要だってあるんじゃ……

なるほどなるほどという感じですね。
そこで、「できるの条件を緩める」なんです。

大体のしつけの本などには、このように書いてあると思います。

 「きちんとできたら、褒めてあげましょう」

これ、この言葉。
こいつが悪い。
「きちんとできたら」って、なんか大変だと思いません?
言い換えれば「100点取ったら褒めてあげましょう」ってことじゃないですか。
無理でしょ。
そこで、条件を緩めるんです。

たとえば「クレートトレーニング(ハウストレーニング)」でいうと……

 「クレート(ハウス)の中で、30分間大人しくはできない」
  →1分間なら大人しくできる
  →1分ごとに褒める

こんな感じです。
もっともっと緩めるときもあります。

 「散歩中、とにかく興奮して横について歩けない」
  →飼い主の手からご飯は食べることはできる
  →飼い主のすぐ側でご飯を食べることを増やす

「褒めることができない」
「褒められるようなことをしてくれない」

こんな風に思っている、考えている方は、ひょっとしたら「正解となる行動を取らない限り、褒めてはいけない」と思っていませんか?
そんなことはないんです。

大体の場合「食べる」ということは、できたりします。
ならば、そこから始めるんです。
「食べる」だって、「行動」です

まずは「できる」の条件、「褒める」条件をとにかく緩める。
そして、褒める。
褒めることができたら、徐々にそこから積み上げていく。

「そんなことで、いまできないことが、いつかできるようになるんですか?」と思いますか?
できるんですよ。

小さな子供に箸の使い方を教える場面をイメージしてみてください。
いきなり「焼き魚を箸できれいに食べられる」なんてことを考えたりはしませんよね?
まずは「はい、おててに、おはしをもってください」から始めるはずです。

「食事をする」と考えるなら、「箸じゃなくて、まずはスプーンから」でしょうし、なんなら「椅子に座ってられたらとりあえずOK」となるはずです。

そして、そこから徐々に積み上げていきますよね?
それと、まったく同じことなんです。

あるいは、「ゲーム」も同じ。
最初はとても簡単なところから始まって、徐々に「できること」が増えていって、クリア「できる」ようになる。
だから子供は、ゲームに熱中するんですね。

どんどん「できる」ようになっていくから。

「できる」の基準を緩めると、いっぱいイヌを褒めることが「できる」ようになるんです。

続きます

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hit1678 について

1978年9月17日生まれ。♂ Dog Life Design ocean style代表。 行動学(行動分析学)に基づいた、イヌの問題行動の改善が専門。 高校卒業後、警察犬訓練士に師事。その後、家庭犬の訓練に従事する。 現在は、問題行動の改善をメインとしつつ、しつけ、トレーニングではなく、「ヒトとイヌの暮らし」を支える「Dog Life Design」というコンセプトで、京阪神をメインに訪問セッションやセミナー講師を務める。 現在、立命館大学大学院応用人間科学研究科応用人間科学専攻(対人援助学領域)に通う社会人大学院生。
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