イヌの「できる」を増やすために 1 「いま、できていること」に注目する

「イヌのしつけ」
「ドッグトレーニング」
「問題行動の改善」

これらは、いずれも「イヌができること」を増やす、伸ばすことがその本質です。

 「悪いことをやめさせる」
 「間違いを正す」

決してそういうものではないんです。
あくまでも「イヌができること」を増やしていくことが、基本であり、スタートであり、プロセスであり、ゴールであり、すなわち「すべて」です。
「できないこと」「間違っていること」「問題になっていること」に注目してしまうと、「問題行動をどう止めるか?」という考えにはまり込んでしまいます。
すると、どうしても「罰を与える」「叱る」「怒る」という対応をとってしまいがちです。

そうした取り組みがいかに難しく、そしてうまくいかないか?については、これまでのエントリでも繰り返しお伝えしてきました。
ご興味のある方は、過去のエントリをお読みくださいませ。

では、「イヌのできるを増やす、伸ばす」ために、私たちはどんなことを考えていけばいいのでしょうか?

イヌのできるを増やす、伸ばすために その1
「いま、できていること」にとにかく注目する

これまでのエントリに登場していた「寝た子は起こせ作戦」は、まさにこれです。
何度も書きますが「24時間365日問題を起こし続けているイヌ」なんていません
絶対に「大人しくしている時間」というものがあります。
その代表が「寝ているとき」です。
ならば、まずはその「大人しい時間=寝ているとき」に注目しましょうというお話でした。
そしてそれを一般化すると「いま、できていることに注目する」ということになります。

「うちの子は、とにかく悪いことばっかりするんです」

僕は専門家として、つとめて冷静に第三者の目線で「イヌと飼い主さん」の関係性や、状態を見るようにしていますが、その立場から見えるのは「悪いことばかりしているイヌ」ではなく、「悪いことばかりに注目してしまっている飼い主さん」です。

問題や悩みごとばかりを見てしまい、「うちのイヌは、悪いことばかりしている」と、視野が狭くなってしまっているんですね。

でもそれは、ある意味ではしょうがなかったりします。
だって、困ってるし。
悩んでるし。
どうしたって、視野は狭くなります。

だから、カウンセリングや、セッションをスタートした最初の頃は、とにかく飼い主さんに対して「イヌのポジティブな面」を見せることに集中したりします。

 「この子は、こんなにもできることがあるんですよ。大丈夫ですよ」

そういう風にお伝えしていきつつ、なんなら実際にイヌの姿や行動も見てもらいつつ、飼い主さんを勇気づけるといいますか。

僕自身「ここができてない。ここがダメだ。こういうところが悪いところだ」という指摘をされるのが、好きではないというのもあります。
でも、そんな僕の好き嫌いを別として、行動の原理や行動科学に照らし合わせて考えてみても「できないことをどうにかする」というのは、戦略としての筋が悪いです。
むしろ「できること」に注目して、とにかくそれを伸ばしていく。
それを基本に置いた方が、遠回りのように見えて、結果的に早く解決に至る場合が多いんですね。

まったく個人的な主観での話になりますが、「イヌのできるに注目して、それを伸ばす」ということをしっかりとやればやるほど、問題改善のスピードは速くなるように感じています。
以前だったら、何ヶ月も、あるいは何年もかかるかもしれないなぁと思われた問題が、もっと早く改善できたり。
反対に「なんだかうまくいかないなぁ」というときは、大体「問題」の方に注目してしまっています。
ここは、まだまだ修行が足りません。
いつも「おおっと、いけないいけない」と、とにかく「イヌのできる」に注目するよう心がけています。

行動の科学としても、そして実感としても、「イヌのできる」に注目することが一番であることは、今のところは間違いなさそうです。

ですから、是非とも「うちの子は、今何ができているのかしら?」というところに、目を向けていただければなぁと思います。

すべては、そこから始まって、そしてそこへと還っていきます。

続きます

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hit1678 について

1978年9月17日生まれ。♂ Dog Life Design ocean style代表。 行動学(行動分析学)に基づいた、イヌの問題行動の改善が専門。 高校卒業後、警察犬訓練士に師事。その後、家庭犬の訓練に従事する。 現在は、問題行動の改善をメインとしつつ、しつけ、トレーニングではなく、「ヒトとイヌの暮らし」を支える「Dog Life Design」というコンセプトで、京阪神をメインに訪問セッションやセミナー講師を務める。 現在、立命館大学大学院応用人間科学研究科応用人間科学専攻(対人援助学領域)に通う社会人大学院生。
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