「イヌを叱る」をやめるために その3

前回から「イヌを叱るをやめるために」というテーマで、エントリを書いております。
これまで「叱ることのデメリット」や「叱るのがうまくいかない理由」というものを書いてきました。
次は「じゃあ、どうしたらいいの?」というお話。
個別的な話というよりは、割と一般化した話ですが、きっと日々のしつけの参考になることがあると思います。

「イヌを叱る」をやめるために その3
「やめなさい」ではなく「やりなさい」を教える

ほとんどの方が「~はしてはいけない」「~をするのは悪いこと」「~をやめさせる」ということを教えるにはどうすればいいか?と考えています。
なんなら「やっちゃいけないことを教える=しつけ」だという考え方もあるかもしれません。
この発想を180度転換します。
それが「やめなさいではなく、やりなさいを教える」ということ。

行動の科学には「~しない」は行動ではないという考え方があります。
「~しない」ということは行動ではないのですから、教えるのもすごく難しそうですよね。
ですから、「これをやめさせる=これをしないようにする」と考えるのではなく、「これをやらせる=これをたくさんやるようにする」と考えるわけです。

「吠える」のであれば、「座る」「伏せる」「飼い主を見る」「オモチャで遊ぶ」みたいに、「違う行動をたくさんしなさい」と教えていくわけです。

イヌを「叱る」が、うまくいかない理由 その2 結果的に「褒め」てる

このエントリの中で、こんなことを書きました。

あなたの愛犬は、24時間イタズラしてますか?24時間吠えてますか?24時間落ち着きなく暴れていますか?
断言してもいいですが、そんなイヌはこの世にいません。

時々「もう、ずーっと吠えてるんです」という飼い主さんがいます。
「もう、ずーっと落ち着きがないんです」という飼い主さんもいます。
「もう、ずーっと悪さばっかりするんです」という飼い主さんもいます。
でも、実際は、絶対にそんなことはありません。

いわゆる「無駄吠え(イヌにとっては無駄ではない)」のご相談の中には、「1日あたり断続的に9時間吠えてた」というケースがありました。
でも、残りの15時間は「吠える以外の行動」をしているわけです。
ならば、この「15時間」をどんどん増やしていく。
そうすれば、結果的に「吠えている時間」は減っていくことになります。
当たり前ですね。

前回のエントリに書いた「ケージ」「サークル」を活用するというのも、この考え方を基本としています。
「問題を起こしてから対処する=叱る、罰する」のではなく、「問題が起こらないような状況、環境を作る=予防する」ことをまずは目指します。
そして、そのような「問題が起こらないような状況、環境」で、「賢い行動をどんどんやらせる」と考えるわけです。

人間のお子さんの勉強なんかも同じですよね。
机の周りにマンガやゲームやテレビやパソコンといったものがたくさんあったら、やっぱりなかなか「勉強する」という行動は起きません。
実際僕がそうでした。
テスト期間中におけるゲームボーイのテトリスにはまる率は異常。
当時はカラーなんかなくて白黒でね。
いつもなら目指さないハイスコア目指しちゃったりしてね。
話がそれました。
「周りに勉強する行動を邪魔するものがたくさんある環境」にいたら、そりゃそっちを選んじゃうのが人情ってもんです。

 「そんなことはない。勉強は大事だ。勉強しないとダメだ」

親はそう言うんですけど、子供にとったら「目の前のマンガやゲーム」の方が大事です。
ほとんどの子供がそうだと思います。
それに、大体の親御さんって「勉強するのが当たり前」だと思って、勉強してても褒めてくれないんですよね。
勉強しないと叱られるけど、したところで特に褒めてももらえない
その代わり、ゲームはすぐに「褒めて」くれるんですよ。
で、どんどん身につくんですよね。
よくできてますね。

これと同じことを、イヌにもやるって話です。
「どんどんやらせる」わけですから、「どんどん褒める」必要があることは、言うまでもありません。

なんか変な話ですけど、僕がお伺いするようになってから、お子さんの「勉強行動のマネジメント」がすごく上手になったお母さんとかもいらっしゃいます。
先生にしつけを頼んで一番よかったのは、子供の学校の成績が伸びたこと」って話が出たときは、思わず大声で笑っちゃいました。

あ、もちろんわんこも賢くなったんですよ(ねんのため)。

続きます

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hit1678 について

1978年9月17日生まれ。♂ Dog Life Design ocean style代表。 行動学(行動分析学)に基づいた、イヌの問題行動の改善が専門。 高校卒業後、警察犬訓練士に師事。その後、家庭犬の訓練に従事する。 現在は、問題行動の改善をメインとしつつ、しつけ、トレーニングではなく、「ヒトとイヌの暮らし」を支える「Dog Life Design」というコンセプトで、京阪神をメインに訪問セッションやセミナー講師を務める。 現在、立命館大学大学院応用人間科学研究科応用人間科学専攻(対人援助学領域)に通う社会人大学院生。
カテゴリー: 「イヌを叱る(罰)」を考える, ベースアレンジ, 考え方のベースアレンジ タグ: , , , , , , , パーマリンク