イヌを「叱る」がうまくいかない理由 その2 イヌを叱るのほんとのところ5

「イヌを『叱る』が、うまくいかない理由 その2」です。
その1では、「正しい叱り方なんてものは存在しない」 ということを書きました。
その2は、その1が原因の一つになっているともいえます。

イヌを「叱る」が、うまくいかない理由 その2
結果的に「褒め」てる


この「叱ってるつもりが、結果的に褒めちゃってる」ということは、本当に多いです。
特に、「家の中での問題」(イタズラ、無駄吠え、落ち着きが無い、興奮しやすい)っていうのは、これが原因の大半と言ってもいいかもしれません。

少し具体的に流れを見てみましょう。

 「家具をかじったり、噛んではいけないものを噛んだり、とにかくイタズラが多い」
 「しょっちゅう無駄吠えをする」
 「とにかく落ち着きがなく、家の中で走り回ってる」

こういう悩みを抱える飼い主さんがいるとします。
では、どんな暮らしをされているんでしょうか?

 飼い主さんがトイレから戻ってリビングに入ると、なにやら音がします。
 「ああ、またやった……」
 毎日のように繰り返されているイベントが、今日も始まりました。
 そう、いつものアレに違いありません。
 飼い主さんは、新聞紙をビリビリに破いてご満悦の愛犬の元に
 「ダメ!」と言いながら駆け寄ります。
 イヌは飼い主さんの姿を見るやいなや、すぐさま新聞紙を
 咥えたままダッシュします。
 さあ、追いかけっこの始まりです。
 愛犬をようやく捕まえた飼い主さんは、こう独りごちます。

 「私たちの戦いは、これからよ……っ!!」

 ―ご愛読ありがとうございました。
 TaKaYaMa先生の次回作にご期待ください。

こういう感じの毎日を送ってる方って、結構多いと思うんですが、あなたはどうでしょうか?
「新聞紙」のところには、なんでも自由に当てはめてみてください。
「テーブルの脚」でもいいし、「クッション」でもいいし、「テレビのリモコン」でも構いません。
カーペットの場合もあるでしょうし、壁紙、カーテン、置いてあった鞄から抜き出したハンドタオル、スリッパ……

今まで僕が見た中で一番「うわーこれはショックだろうなぁ」と思ったのは、購入したその日に液晶に思い切り歯型がついた新しいiPadでした。

他にも「ダメ!」と叱っているにもかかわらず、全然行動をやめてくれないことはたくさんあります。
「吠える」「無駄吠え」なんていうのも、大半はそんな感じです。
「家の中で暴れる」のも同じ。

じゃあ、なんでそんなことが起きるんでしょう?
答えは簡単。
「叱っている」からです。

もし、あなたが「愛犬のイタズラ」「無駄吠え」「落ち着きがない」ということに悩んでいる、困っているという方なのであれば、ちょっと考えてみてほしいんですけれども。
あなたの愛犬は、24時間イタズラしてますか?24時間吠えてますか?24時間落ち着きなく暴れていますか?
断言してもいいですが、そんなイヌはこの世にいません
まず、絶対に「眠っている時間」というのがあるはずです。

はい、では次にイヌの気持ちになってみましょう。

 寝ています。
 目が覚めました。
 辺りを見回すと側に誰もいません。
 暇です。
 特にやることもありません。
 もう少し周りを見ると、誰かが置き忘れたのであろう靴下がありました。
 ちょっとそれを咥えてみました。
 大して面白くありませんでした。
 案外つまんないなーと思いながら、靴下を口から離そうとしたそのとき!
 なんということでしょう。
 これまで自分をほったらかしにしていた飼い主さんが、
 ものすごい勢いで飛んできてくれるではありませんか。
 しかもなにやら大声をあげながら、引っ張りっこまでしてくれます。
 あなたは、一つ賢くなりました。
 「靴下を咥えると、飼い主がやってきてめちゃくちゃ遊んでくれる」

これと同じことが、「無駄吠え」「落ち着きがない」という問題にも起こっています。
ほとんどの飼い主さんは、「静かにしているイヌ」のことは放置しています
「やっと静かになってくれた」って感じで、自分のこと(家事だったり、PCに向かったり)を始めます。

反対に、「いらんことをしているイヌ」のことは、放っておきません
常に側にいて、なんやかんやと「叱って」います。
しかし、イヌからすれば、それは「叱られて」いません

 いらんことをしているとき=飼い主がすっ飛んでくる
 静かにしているとき=そして誰もいなくなった

どっちがメリットが大きいでしょうか?
もうおわかりですね。
これが「叱る」のがうまくいかない理由の、2つ目です。
「結果的に褒めていることになっている」ということの意味、伝わりましたでしょうか?

まだあります。

続きます

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hit1678 について

1978年9月17日生まれ。♂ Dog Life Design ocean style代表。 行動学(行動分析学)に基づいた、イヌの問題行動の改善が専門。 高校卒業後、警察犬訓練士に師事。その後、家庭犬の訓練に従事する。 現在は、問題行動の改善をメインとしつつ、しつけ、トレーニングではなく、「ヒトとイヌの暮らし」を支える「Dog Life Design」というコンセプトで、京阪神をメインに訪問セッションやセミナー講師を務める。 現在、立命館大学大学院応用人間科学研究科応用人間科学専攻(対人援助学領域)に通う社会人大学院生。
カテゴリー: 「イヌを叱る(罰)」を考える, ベースアレンジ, 考え方のベースアレンジ タグ: , , , , パーマリンク