イヌを「叱る」がうまくいかない理由 その1 イヌを叱るのほんとのところ4

前回のエントリでは、「イヌを叱ることのデメリット」についてお伝えしました。
これまでのエントリをまだお読みでない方は、是非とも読んでから、こちらをお読みください。
でないと「前田敦子って誰よ?」という状態で、「キンタローのあっちゃんのモノマネ」を観る感じになっちゃいますので。

これまでの関連エントリ

イヌのしつけと体罰(罰)
「イヌを叱る」のほんとのところ
「叱るメリット」 イヌを叱るのほんとのところ2
「叱るデメリット」 犬を叱るのほんとのところ3

こういうデメリットがあるにもかかわらず、「叱る」という対応を取られる方はとても多くいらっしゃいます。
「叱る」という対応を推奨するプロもいるぐらいです。
しかし、大体の場合において、「叱る」という対応はなかなかうまくいきません。
というか、うまくいっている場合は、こんなブログを多分読まないんですよ。
だって、うまくいってるんだから。
うまくいってるんなら、悩まないし困らないから。

にもかかわらず、先に書いたように「叱る」という対応を取られる方は、たくさんいらっしゃいます。
個人的な経験での話になりますが、ご相談に見える飼い主さんのほとんどが、何らかの形でイヌを「叱って」らっしゃいます。

しかし、それではうまくいかなかった。
叱ってるのに、言うことを聞いてくれない。
よって、プロに相談するという次のアクションが起こります。
このブログを読んでいるあなたがどういう方なのかはわかりませんが、もしも「しつけについての悩みや、困りごとがある」という方であった場合、きっとこれまで何らかの形で叱ったことがあると思います。

中にはうまくいったこともあるでしょう。
でも、うまくいかなかったこともあるでしょう。
じゃあ、どうして「うまくいかなかった」のでしょうか?
いくつか理由があるので、書いてみます。

イヌを「叱る」が、うまくいかない理由 その1
「正しい叱り方」なんてものは存在しない

本やネット、あるいは掲示板などでは「正しい叱り方」として、こんなことが書かれていたりします。

 「叱るときは、大きな声で、短くはっきりと。
  長々とお説教をしても、イヌには伝わりません」
 「現行犯逮捕が鉄則です。
  何分か前のことを叱られても、イヌには伝わりません」
 「飼い主としての威厳を持って、きっぱりと叱りましょう。
  言うことを聞いてくれるかな?と不安を持ちながら叱ると、
  イヌに見抜かれてしまいます」

こういう言葉を受けて、その通りに叱ったとします。

「イヌが悪いことをしているその最中に、飼い主としての威厳と誇りとそして大きな愛と真心と、努力根性義理人情!大きな声で、短くはっきり『ダメ!』と言う」

で、これで「うまくいく子」は、うまくいきます。
「うまくいかない子」は、うまくいきません。

なぜ?どうして?って思いますか?
ごくごく当然の話なんですよ。

「叱る」というのは、とどのつまり「叱った行動を減らす」ためにやる行為です。
まさか「何度も同じ悪いことをしてもらうために、叱る」という人はいないでしょう。
「もう二度とやらないで」ってことを伝えるために、叱るわけです。

そして、「行動が減少する」ためには、その行動の後に「デメリット」が存在していなくてはいけません
しかし、この「デメリット」は、イヌによって違います
「メリット」が、イヌによって違うのとまったく同じことです。

「ダメ!」という言葉だけで、シュンってなるイヌは実際にいます。
でも、全然効かないイヌもいます。

一時期「お酢と水を1:1で割ったスプレーを吹きかける」というのが流行ったことがあります。
個人的な経験で言えば、「寿司屋かここは!」ってなって終わることが多いようです。

「空き缶に小石などを詰めて床に投げつけ大きな音を立てびっくりさせることで天罰を与える」
効く子には効きます。
効かない子には?新しい音の鳴るオモチャが増えただけになります。

しつけの本や、ネットなどに唯一正しいことが書いてあるとすれば、それはこれです。

 「その子に合った方法を探しましょう」

そうなんですよ。
「正しいか正しくないか」は、あくまでも「あなたのイヌ」が決めるんです

しつけの本でもないし、ネットのサイトやブログでもないし、掲示板に書かれた返信でもないし、自称しつけに詳しい近所の奥さんでも、自称しつけに詳しいネットの誰かでもありません。
あなたの、あーなーたーのー、イヌが、決めるんです。

「嘘だ。きっと、どこかに正しいやり方が載ってるはずだ」って思いますか?
しつけの本や、ネットにはこんなことも書いてます。

 「しつけは、マニュアル通りにはいかない」

「マニュアル通りにはいかないんです(ドヤァ)」って書いてるのに、同じ本やサイトに「ナントカ法で、ここまでよくなります」とか書いてあるんですがそれは……って時々思っちゃいますね。

しつけの本や、ネットを見なくても、答えは出ていると思います。

「これまで探して、見つけてきた叱り方で、その行動はなくなったか?」

どうでしょうか?

ちょっと意地悪な質問が続きました。
すみません。

ただ、多くのイヌに対して、有効な「叱り方」というものがあります。
それは「強い痛みを与える」ということ。
「強い痛み」というのは、ほとんどの動物にとって「罰」として作用します。
しかし、その「強さ」というのもまた、イヌによって違います。

 「どの程度の痛みなら、罰として作用するか?」

そんなことを、自分のイヌに実験してみたいという方はいないでしょう。
もしもいたら、すぐに連絡してください。
そんなことしなくても、あなたのイヌを変える術はたくさんあります。

ひとまず、「イヌを『叱る』が、うまくいかない理由 その1」は、「正しい叱り方なんてものは存在しない」でした。

続きます

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hit1678 について

1978年9月17日生まれ。♂ Dog Life Design ocean style代表。 行動学(行動分析学)に基づいた、イヌの問題行動の改善が専門。 高校卒業後、警察犬訓練士に師事。その後、家庭犬の訓練に従事する。 現在は、問題行動の改善をメインとしつつ、しつけ、トレーニングではなく、「ヒトとイヌの暮らし」を支える「Dog Life Design」というコンセプトで、京阪神をメインに訪問セッションやセミナー講師を務める。 現在、立命館大学大学院応用人間科学研究科応用人間科学専攻(対人援助学領域)に通う社会人大学院生。
カテゴリー: 「イヌを叱る(罰)」を考える, ベースアレンジ, 考え方のベースアレンジ タグ: , , , , パーマリンク