イヌのしつけと体罰(罰)

「体罰って、どうすればなくなるだろうか?」

つい先日、13日に名古屋で行ったセミナーでは、そんなテーマで参加者の皆さんとディスカッションしてきました。
セミナーでは、おそれ多くも一応僕が講師という立場を取らせていただいていますが、参加者の皆さん同士にも色々とお話をしてもらったりなんかして、和気藹々とやってます。
トレーナー業界って、横のつながりが意外と希薄だったりするので、仲間作りという側面もありますですね。

さてさて。
大阪の高校での一件から、世間的には「体罰はダメ」という空気が醸成されてきているなぁと感じます。
感じるんですが、さて、ドッグトレーニングの世界ではどうだろうと思うわけです。
ドッグトレーニングだけに限らず、アニマルトレーニングの世界ではどうなんだろうと。

よく言われるのが、まずは「ビシっとやらないと舐められる」というものでしょうか。
その根底には「舐められる=言うことを聞かない」という考えがあるんでしょう。
ただ、「言うことを聞かない」言い換えれば「(トレーナー側が望む)行動が起きない、持続しない」原因は、簡単にいえば大きくわけて2つです。

 1 何をどうすればいいのかわからない
 2 何をどうすればいいのかわかってるけどメリットがない(or少ない)

1は、「やれと言われても、何をすればいいのかわかんないです」ということですから、きちんと丁寧に教える必要があります
「やり方がわからない」んだから、当然「行動」は起きませんよね。
「車の運転の仕方がわからない」という人は、当然「車を運転をする」という行動はしません。
「英語がわからない」という人は、当然「英語で喋る」という行動はしません。
ものすごく当たり前の話です。

2は、「どうすればいいのかわかってるけど、やったところで大してメリットないしなぁ」ということですから、きちんと「相手にとってのメリット」を用意する必要があります
「やっても別にいいことないし」ってことなわけですから、これも「行動」は起きないか、持続しません。
子供が勉強をしないのは、「勉強するメリット」がよくわからないからだったりします。
一方、ゲームなんかは「最初は簡単にクリアできる」ので、すぐに「メリット」を得られます。
そして、ゲームを進めるうちに、自然と「メリット」が適切に得られるように設計されています。
もちろん、「ゲームそのもの」にメリットを感じない子供もいます。
そういう子は、また何か違うもの、マンガやアニメや、あるいはスポーツなんかをやったりするのかもしれません。

大事なことは「当人が嬉しい、楽しい、大好き!と感じるかどうか」であって、周りが「どうだこれが嬉しいだらう」という風に決めるもんではないということ。
だから、「ちゃんと褒めてるのに動かない」というのは実は間違いで、「動かないということはちゃんと褒めてない」ということになるわけです。

ちょっと遠回りしましたが、要は「言うことを聞かない」のは「舐めてる」わけでもなんでもなくて、「教え方が悪い」か「褒め方が悪い」かのどちらかということです。

体罰に関してよく言われる(ように思う)ことは、もう一つありますね。

「悪いことをしたということを、きちんとわからせなければいけない」

でもねー。
体罰で考えが変わるんなら、体罰に賛成する人達の頭をぶん殴ってやりたい」なんて言葉がツイッターで回ってましたけど、これは本当にそうだなぁと思いますね。
ただ、変わらなかったら変わらなかったで、「体罰に効果はない」ということの証明にはなるかもしれませんが、体罰賛成の人はそのまま体罰を続けるんでしょうし、変わったら変わったで「体罰に効果はある」ということの証明になっちゃうかもしれないので、結果よくわかんないことになりますね。

ひとつ言えることは「体罰絶対反対!体罰禁止!」って声高に叫ぶだけでは、多分なくならないんだろうと思います。
ほなどないしまんねや?という話になるわけですが。

「体罰を与える」

これも「行動」なわけです。
↑に「行動が起きない」原因を書きました。
「体罰をやってしまう」というのは、言い換えれば「体罰以外の行動が起こらない」ということでもあります。
つまり、
体罰以外の方法を知らない」「体罰以外の方法をやったところでメリットがない(と、思い込んでいる)」ということにもなるわけです。

そんなこんなで次回からは、この辺の「体罰を与えるというのも行動だ」という視点も入れつつ、「体罰」あるいは「罰」について、ここでゆるゆると書いていこうと思います。

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hit1678 について

1978年9月17日生まれ。♂ Dog Life Design ocean style代表。 行動学(行動分析学)に基づいた、イヌの問題行動の改善が専門。 高校卒業後、警察犬訓練士に師事。その後、家庭犬の訓練に従事する。 現在は、問題行動の改善をメインとしつつ、しつけ、トレーニングではなく、「ヒトとイヌの暮らし」を支える「Dog Life Design」というコンセプトで、京阪神をメインに訪問セッションやセミナー講師を務める。 現在、立命館大学大学院応用人間科学研究科応用人間科学専攻(対人援助学領域)に通う社会人大学院生。
カテゴリー: 「イヌを叱る(罰)」を考える, ベースアレンジ, 考え方のベースアレンジ タグ: , , , パーマリンク