イヌの気持ちと、問題行動

イヌの“気持ち”を考えると題して、色々と書いてきたわけですが、いかがでしょうか?
あのシリーズ記事において、一番伝えたかったこと、それは「行動には理由がある」という、ごく当たり前のことなんですね。

私たちは、ついつい「問題行動」という言葉を使ってしまいます。
なんだか、イヌがいかにも「問題を起こしている」「悪いことをしている」かのような印象すら持ってしまいます。

 吠える。
 噛む。
 唸る。
 ゴミ箱をあさる、ひっくり返す。
 家具をかじる。
 他のイヌとケンカをする。

イヌは、実に色んな行動をします。
そんなイヌの色んな「行動」を、つい「問題行動」という風に、表現してしまいます。

しかし、イヌはイヌで、理由があってその行動をしています
別にやりたくてやっているわけではないんですね。
そういうやり方しか知らない」から、そういう行動をとっていることだってあるわけです。
というか、ほとんどの場合がそうかもしれません。

吠えたくて吠えてるわけじゃないのかもしれません。
噛みたくて、噛んでいるわけじゃないのかもしれません。
ゴミ箱をあさったり、家具をかじったり、イタズラをしたりするのは、ひょっとしたらそうすることが、一番家族の気を引けるからかもしれません。
静かにしていたら、ずっと放っておかれるんだもん」こんな風に、思ってるのかもしれません。
もっと効率のいい、他のやり方を知らないだけなのかもしれません

特に「噛む」「唸る」という行動は、「問題だ」とされることが多いようです。
これまで、何頭もの「噛みイヌ」と呼ばれていたイヌを見てきました。
しかし、その子たちは「噛む以外の方法を知らなかった」というだけでした。

 「嫌だ、やめて、怖い」

こういうことを表現するのに、「噛む」というやり方しか知らなかったんですね。

中には、唸ることもなく、いきなり噛みついてくるという子もいました。
当然、家族にとっては大問題です。
しかし、その子は「噛まなきゃやめてくれないじゃないか」ということを、実は毎日訴えていただけだったりするんです。

もちろん、それは大きな誤解です。
噛まなくたって、やめます。
その子にとっての「嫌な出来事」―それはブラッシングだったり、爪きりだったり、床に落ちていた宝物を取り上げられそうになることかもしれません―は、「噛む」という行動をしなくても、終わるんです。

でも、イヌはそれがわかりません。

だって「噛む」って行動をしたら、必ずそれは終わるから。

飼い主さんも困っています。
イヌも、困っています。

お互いに「なんでわかってくれないの?」って思ってる。
15年ほどこの仕事をしてきて、最近はそんなことを思うんですよね。

この「お互いになんか困ってる」というのを、どうにかうまく橋渡しというか、繋げていきたいなぁということも思いながらお仕事をしています。
通訳みたいな感じですかね。

でも僕は、残念ながら「イヌの言葉」はわかりません。
最近は「イヌ語」とか、「ボディーランゲージ」というものを「読む」のが流行ってるみたいですが、うまくやれる自信がありません。
でも、行動を観察して、記録して、何か環境を操作して、その変化を見ていくことならできます。

そうやって、「イヌの気持ち」「行動の理由」を明らかにしていきながら、わんこと、飼い主さんのハッピーを増やせたらなぁと思います。

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hit1678 について

1978年9月17日生まれ。♂ Dog Life Design ocean style代表。 行動学(行動分析学)に基づいた、イヌの問題行動の改善が専門。 高校卒業後、警察犬訓練士に師事。その後、家庭犬の訓練に従事する。 現在は、問題行動の改善をメインとしつつ、しつけ、トレーニングではなく、「ヒトとイヌの暮らし」を支える「Dog Life Design」というコンセプトで、京阪神をメインに訪問セッションやセミナー講師を務める。 現在、立命館大学大学院応用人間科学研究科応用人間科学専攻(対人援助学領域)に通う社会人大学院生。
カテゴリー: イヌの行動の“理由”を考える, ベースアレンジ, 考え方のベースアレンジ タグ: , , , パーマリンク

イヌの気持ちと、問題行動 への1件のフィードバック

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