あなたのイヌが吠える理由 5 イヌの“気持ち”を考える

前回までのあらすじ
他犬が苦手で、「どっか行って!」という“気持ち”で吠えているに違いないと思われた、1頭のイヌ……
しかし、そこにはある盲点が隠されていた。

「吠えたら近づけさせない」
「吠えなかったら近づけさせる」


このたった2つのアドバイスで、吠えが激減したこの子の、本当の“イヌの気持ち”とは……!?


このイヌの気持ちの話をする前に、ここで少し「行動の原理」について簡単に解説しておきます。
どんな行動であっても、この「行動の原理」に照らしながら、分析をしていきます。

この「行動の原理」は、ありとあらゆる動物に共通の原理です。
人間の場合は「言語」というものがるので、いささか複雑だったりもしますが、しかしこの原理から外れるということはありません。

 行動の原理
  ・行動の後で、いいことが起こる行動は、何度も繰り返される
  ・行動の後で、嫌なことが終わる行動は、何度も繰り返される
  ・行動の後で、嫌なことが起こる行動は、繰り返されない
  ・行動の後で、いいことが終わる行動は、繰り返されない

ごくごく当たり前の話です。

要約すれば、「行動の後にメリットがあれば、その行動は何度も繰り返される」し、「行動の後にデメリットがれば、その行動は何度も繰り返されることはない」という話です。
ね?当たり前の話ですよね。

そして、この「他のイヌに吠える」という行動も、この「行動の原理」にのっとって起こっているわけです。

前々回までのエントリに出ていたイヌの場合は、↑の行動の原理の2つ目「行動の後で、嫌なことが終わる」という流れで、行動が維持されていました。

 他犬有 … 吠える … 他犬無

この流れを見ると、「吠える」という行動をした後で、「他犬」という刺激がなくなっています。
これはつまり、「他犬がいる」という「嫌な状況」が、「吠える」という行動の結果「終わる」「改善される」ために、何度も繰り返し吠えているわけですね。

こういう場合、その「きっと嫌なのであろう他犬という刺激」もしくは「きっと嫌なのであろう他犬がいう状況」に対して、「徐々に馴れさせていく」、あるいは「いいものと結び付けていく」という対応を取るわけです。

しかし、それでは改善に結びつかなかった。

ということは、そもそもの「問題の見立て」が間違っていた可能性があります。
つまり「別に他犬が嫌で吠えてたんと違うんとちゃうか?」ということですね。

激しく吠えていたりすると、どうしてもその様子から「他のイヌが苦手」という印象を持ってしまいがちです。
しかし、こういう「主観的な印象」というものが外れていた場合、全然意味のないことを続けてしまう可能性もあるわけです。
やはり「どんな仮説を立てて」「何をして」「どうなった?」を、しっかりと把握していくことはとても大事なことなんですね。

さて、「他のイヌが嫌で吠えている」という仮説にのっとった対応ではうまくいかなかったわけです。
そうすると、もう一つの可能性、「実は、他のイヌが好きで吠えていた」これが考えられるわけです。
そして、「吠えたら近づけさせない」「吠えなかったら近づけさせる」という対応をした結果、「吠える」という行動が激減したことが、その証拠として考えられるわけです。

続きます

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hit1678 について

1978年9月17日生まれ。♂ Dog Life Design ocean style代表。 行動学(行動分析学)に基づいた、イヌの問題行動の改善が専門。 高校卒業後、警察犬訓練士に師事。その後、家庭犬の訓練に従事する。 現在は、問題行動の改善をメインとしつつ、しつけ、トレーニングではなく、「ヒトとイヌの暮らし」を支える「Dog Life Design」というコンセプトで、京阪神をメインに訪問セッションやセミナー講師を務める。 現在、立命館大学大学院応用人間科学研究科応用人間科学専攻(対人援助学領域)に通う社会人大学院生。
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