褒めたらどんどんイヌの行動が変わった話 トイレの事例から

「褒める」と「叱る」について、いろいろとお話をしています。

前回のエントリの最後に、このように書きました。

 問題行動の専門家として言います。
 問題解決のために、問題行動を見ているとうまくいきません。

 行動を増やす。
 適切な、行動を増やす。
 だから、「褒める」が大事なんです。

 実は、ほとんどの飼い主さんは、このことを知っているはずです。
 ある「しつけ」を通して、体で、頭で覚えているはずなんです。

なんのしつけか、おわかりになるでしょうか?
答えは、「トイレのしつけ」です。
「えー?いまさらトイレのしつけの話?」と、どうか思わないでくださいね。
実は、どんなしつけにも、どんな問題行動の改善にも繋がるエッセンスが、トイレのしつけには入ってるんです。

それにひょっとしたら、いま、まさに「トイレのしつけ」がうまくいっていないという方もいるかもしれません。
ある飼い主さんの実例をもとに、お伝えします。

もう、随分と前の話です。
大阪市内にお住まいのある飼い主さんは「トイレのしつけ」で悩んでいました。
部屋のあちこちでオシッコをされてしまい、お家の中はあちこちにトイレシーツが敷かれた状態でした。
この方は、「トイレを失敗したら、その場所にイヌを連れて行き、床に鼻をこすりつけてお尻を叩く」という対応をされていました。
プロの人から、そのように教わったとのことでした。
しかし、ちっともうまくいかない。
そこで、また別の人から「現行犯でないと、イヌは叱られた意味がわからない」ということも教わり、それ以降は「トイレシーツ以外の場所で排泄をしているのを見たら、即座に叱る」ということを続けていらっしゃったそうです。
今でこそ、こんな対応を紹介したり、勧めるプロはいませんが、当時はいたんですね。

結論からいえば、排泄の失敗をいくら咎めても、叱っても、まずうまくいきません。
うまくいかないどころか、「飼い主が見ている前でオシッコをすると叱られる」と覚えてしまい、飼い主から隠れてするようになってしまいます
この大阪市の飼い主さんも、同じことになっていました。
ご相談にお伺いしたときには、「見ている前ですることは本当に少なく、洗濯物を干していたり、ゴミを出しに行ったり、飼い主がトイレに行って目を離している隙にやってしまう」ということでした。

この飼い主さんにお伝えしたアドバイスは、いたってシンプルです。
「シーツの上でやったときに、必ず褒めること」
「失敗は絶対に叱らないこと」

この2つ。

たったこの2つのことを続けただけで、どんどん変わっていきました。
当時の記録が残っています。

toilet-train

当時の記録は、実際はデータの抜けがあったり、不確かなところもあったりするのですが、概ねこのような感じで推移していきました。
途中の赤い縦線が入っているところから、「成功を褒める」ということを始めています。
この飼い主さん、決して「まったく褒めていなかった」というわけではなかったのですが、「褒め方」にも工夫していただきました。
見ていただければわかる通り、褒めるのをスタートして4日目からは成功率がほぼ100%に達して、最終的にも100%になっています。


実践では、このようにきちんと記録をとって、グラフ化することもあります。
客観的に、ちゃんと結果が出ているかどうかを見ることができるので、とてもよいです。

さて、この「トイレのしつけの話」を、ただの「トイレのしつけの話」とは思わないでくださいね。
お伝えしたいことは、「トイレのしつけがうまくいったエピソード」ではありません。
あくまでも、「褒める」ことの重要性です。

グラフの途中でガクンと落ち込んでいる部分、ここを見てください。
グラフにも書いてありますが、ここは飼い主さんが油断しちゃって、褒めることを忘れちゃいました。
てきめんに成功率が落ちていますね。
一度ガクンと落ち込んでからは、褒めることを忘れることもなく、どんどん成功率は伸びていきました。
「褒める」というのは、本当に大事なんだなということがよくわかります。

褒めたら、大抵は変わります

本当ですよ。

続きます

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hit1678 について

1978年9月17日生まれ。♂ Dog Life Design ocean style代表。 行動学(行動分析学)に基づいた、イヌの問題行動の改善が専門。 高校卒業後、警察犬訓練士に師事。その後、家庭犬の訓練に従事する。 現在は、問題行動の改善をメインとしつつ、しつけ、トレーニングではなく、「ヒトとイヌの暮らし」を支える「Dog Life Design」というコンセプトで、京阪神をメインに訪問セッションやセミナー講師を務める。 現在、立命館大学大学院応用人間科学研究科応用人間科学専攻(対人援助学領域)に通う社会人大学院生。
カテゴリー: 「イヌを褒める」を考える, ベースアレンジ, 考え方のベースアレンジ タグ: , パーマリンク