トイレの失敗が、一気になおったお話 「褒める」の本質

トイレが急にできなくなったわんちゃんのお話です。

「できていたことができなくなる」という場合、飼い主さんの褒め忘れというのが結構あります。
しかし、この飼い主さんは「ちゃんと褒めている」とのことで、実際に褒めているところを見せてもらっても、それはそれは「ちゃんと褒めて」らっしゃいました。
でも、トイレが急にできなくなった。

飼い主さんは、「イヌが寂しい思いをして、ストレスが溜まっている」「何か信頼関係が崩れるようなことがあった」ということをおっしゃいます。

さてさて、このわんちゃんがトイレを失敗するようになったのは、なぜなんでしょう?

当時の記録を振り返ってみましょう。
↓のグラフの画像をご覧ください。

toilet-train2

横軸は日数で、縦軸は成功率をあらわしています。
まずは飼い主さんに、カウンセリングにお伺いした日から次にお伺いするまでの1週間、記録をお願いしました。
1日目~7日目までは、成功率も0~25%程度ということがわかると思います。
まあ、ほとんど失敗していたわけですね。
しかし、2回目にお伺いした翌日の8日目から、一気に成功率が上昇しています。
1週間程度は80%台の日もありましたが、その後はずっと100%の成功率をキープしています。
(このエントリ作成にあたって、久しぶりにご連絡を取ってみましたが、現在もトイレの失敗はまったくと言っていいほどないそうです)

ここまでの差が出た要因は、たった一つ。

「トイレが成功した後に、ご褒美のクッキーを一つあげるようにした」

これだけです。

「なんだ、ただ食べ物を使っただけですか」と思うかもしれません。
ですが、これはとても大事なことを示しているんです。
それは、「褒められたかどうかは、イヌが決める」ということ。
これは、セミナーなどでも何度もお伝えしている言葉です。

よく「あなたのわんちゃんが、喜ぶことをしてあげてください」って言われたりしますよね。
「褒めるというのは、わんちゃんが喜ぶことをしてあげるということです」みたいな。
だから、「あなたのわんちゃんが、嬉しいこと、楽しいこと、好きなことをきちんと知っておきましょう」みたいな話に繋がったりします。

では、「うちの子が、喜ぶこと」とはなんでしょう?
「ねえ、これ嬉しい?」と聞いてみたところで、答えてくれはしません。
なんとなく、表情とか、態度、姿勢みたいなものから、それを読み解くというぐらいでしょうか?
たくさん尻尾を振ってるとか、笑顔とか、とにかく「嬉しそう(にしてる)」とか。
でも、それをきちんと確かめる方法があるんです。

それは、「行動を記録する」ということ。
↑のグラフのように、記録をしていれば、「ちゃんと褒められているのかどうか」が、一目瞭然です。

この飼い主さんは、飼い主さんなりに「褒めていた」んです。
でも、トイレの成功率は上がらなかった。
そこで、トイレを成功したらオヤツをあげるようにした。
すると、一気に成功率が上がった。
つまり、このわんこにとって、飼い主さんからの「いい子!」という声かけや、身体撫で撫では、褒められたこと」になっていなかったんですね。

これが、「褒められたかどうかは、イヌが決める」ということです。
こちらが、「これが嬉しいはず。これで喜ぶはず」と、勝手に決めるものではないんです。
言ってみれば、「プレゼント選び」と同じなんです。
誰だってプレゼントを選ぶときは、「このプレゼントで、喜んでくれるだろうか?」という風に考えますよね?
「このプレゼントで喜ばないのはおかしい」とは思わないでしょう。
ところが、「イヌのしつけ」になると、そういう話が出てくるんです。

続きます

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hit1678 について

1978年9月17日生まれ。♂ Dog Life Design ocean style代表。 行動学(行動分析学)に基づいた、イヌの問題行動の改善が専門。 高校卒業後、警察犬訓練士に師事。その後、家庭犬の訓練に従事する。 現在は、問題行動の改善をメインとしつつ、しつけ、トレーニングではなく、「ヒトとイヌの暮らし」を支える「Dog Life Design」というコンセプトで、京阪神をメインに訪問セッションやセミナー講師を務める。 現在、立命館大学大学院応用人間科学研究科応用人間科学専攻(対人援助学領域)に通う社会人大学院生。
カテゴリー: 「イヌを褒める」を考える, ベースアレンジ, 考え方のベースアレンジ タグ: , , パーマリンク